10年間片想いしてた松来さんが亡くなってから2年、ボクは全然違う場所にいる。
久しぶりに、声優さんのことを話題にします。
なんでかっていうと、彼女が亡くなってから、声優さんのことは忘れようとしたから。
松来さんが出演されているアニメが好きだったから。
『ひだまりスケッチ 』で彼女に出会って、『たまゆら~もあぐれっしぶ~』で彼女と別れた。
ボクは彼女に会ったことはない。
だから、彼女の記憶にはボクは微塵も存在しない。
ただボクの記憶の中には、彼女の声が、キャラクターが、ただ存在している。
亡くなったというのをボクが知ったのは、2015年11月2日の仕事終わり、20時過ぎだった。
入院していた彼女が戻ってくると信じていたボクは、何も考えられなくなった。
職場から自宅に帰って、夕食を食べようとしても、何も喉を通らなかった。
次の日は祝日で、それだけがボクにとっては救いだった。
次の日、ボクはもう一度、松来さんのブログを確認して、ため息をついた。
起きられなかった。
体が全く言うことをきかなかったのだ。
悲しいのか、苦しいのか、よく分からない感情が入り乱れて、涙が溢れ出て止まらなかった。
そして、ボクは声優さんを応援するのも、アニソンを聴くのもやめてしまった。
どうしても涙があふれてしまうからだ。
2年経って、ようやく落ち着いたような気がしないでもない。
だから毎月、月命日に彼女を想っているファンの人は素晴らしいなと思う。
ボクは彼女を忘れようとしていたのだから、自分の心が壊れないように。
それで今なぜだろうか、ボクはカナダにいる。
これがボクのやりたかったことなのか分からないけれど。
ボクが今、何をやりたいのか分からないけれど。
もし彼女が生きていたら、今年40歳で、まだ結婚していなくて、いじられていたかもしれない。
もしかしたら、素敵な男性と出会って、結婚していたかもしれない。
そんな彼女の姿を想像するだけで、とても微笑ましい。
いつだって真面目で、いつだって優しくて、いつも笑っていた彼女をボクは好きだった。
彼女が28歳、ボクが18歳の大学1年生のとき、初めて『スケッチスイッチ』を聴いた。
そのアップテンポな曲調と、不思議な歌詞に魅かれていた。
あ、彼女はこの曲 歌ってないんですけどね。
そこから、俗にいうアニオタという存在になって、10年間ただ彼女を見ていた。
今も、この記事を書きながら、彼女を思い出しては泣いている。
亡くなったからといって、彼女に対するボクの気持ちは消えはしない。
ただ自分が傷つかないように、蓋をしただけだった。
彼女の遺作である『たまゆら~もあぐれっしぶ~』は彼女とボクの地元である広島が舞台だった。
今まで聖地巡礼なんてしたこともなかったけど、なんとなく行ってみた。
舞台となった竹原市はとても いい場所だった。
彼女が演じていた広島風お好み焼き屋さんの店主が働いている お好み焼き屋さんにも行った。
店中にサインが貼ってあって、他のお客さんに頭を下げながら、写真を撮りまくったのを覚えている。
バカなのかもしれないけど、ボクはまだ彼女が亡くなったことを信じていない。
彼女はきっと、どこかの誰かと結婚して、声優という道を歩かなくなっただけだと思っている。
どこかで幸せに生きていると……そう願っている。