あなたのおうちは幽霊屋敷じゃないんですか。
どうでしょうか。
たまに、ボクの家でも不思議なことが起こります。
父方の祖母が亡くなった直後
自宅の階段で、母が父に対する悪態を独りごちたとき
誰かに背中を押されて、階段から落ちたとか。
もしかすると、それは祖母の父に対する愛から、か。
目に見えるポルターガイストみたいな現象は起きませんが
何か見えないものが、この世には存在しているのかもしれません。
装丁の鮮やかさに、思わずに手に取った本。
ちょうど2年ほど前、ボクが初めて恩田陸さんの作品を読んだのが
この作品で、直木賞を受賞されたので、改めて読み直してみる。
綺麗な装丁に包まれた中身は、幽霊屋敷の過去を
そこを訪れた人たちの視点で、書き進められていく。
丘の上の小さな家(幽霊屋敷)では、不思議な現象が起きていて
ただただ何ともいえない恐怖が行間から押し寄せてくるのに
その恐怖が何なのか、表現できなくて
ただ急に、寒気に襲われるような恐怖が忍び寄ってきます。
いまはこうして目玉や髪の毛や耳だけになっても、
ガラス壜の中で永遠に平穏な時を過ごせるのですから。
という第二章のくくりから恐怖が溢れ出てきて
怖いのに、どうしてもページをめくる手が止まらない。
今日からボクは寝る前の物音で、ソワソワしてしまう気がする。
それは家の外で、生きている人間ではなくて
ボクの家に住んでいる幽霊なんじゃないか。
でもね、安心してください。
ボクたちもいつか幽霊になるんですから。
いつか幽霊になるのであれば、幽霊を怖がる必要ないのかも。
ただ不気味な恐怖と、どこからか忍び寄る寒気を感じるには最適の一冊。
……読むのは夏のほうがよさそうだな(´・ω・`)