著者渾身の問題作。戦争と原爆の真実を知ってもらいたい。

投稿者: mameblack 投稿日:


広島に生まれ、広島で育ったボクたちには

戦争も原爆も身近にあるような気がしていた。

原爆を知っているつもりでいた。

でも、それはただ知っているだけだと、この本を読んで、気づかされた。

 

 

広島の外に出たとき「出身どこですか?」と聞かれ

「広島です」と答えると

「広島行きましたよ、修学旅行で」と話してくれる。

その点で、広島出身というのは、会話を始めるきっかけに恵まれてるかもしれない。

東京や大阪のように、大きなテーマパークがあるわけでもない

北海道や沖縄のように、大自然やリゾート地が充実しているわけでもない。

それでも、修学旅行の行先に、広島が選ばれるのは”被爆地だから”だろう。

 

 

どうせ課題のためだけに、原爆資料館の中を通り過ぎ

平和公園で友人と談笑し、原爆ドームが意外と小さいことに驚き

バスで宮島まで行って、鳥居を見たり、水族館へ行くか、弥山に登るのだろう。

ボクも小学校の課外授業で、原爆資料館に入ったけれど

後半の臓器のホルマリン漬けを見て、はしゃいでいた覚えしかない。

平和公園内の周りにある石碑や像を見て回り、感想文を書いたけれど、覚えていない。

何を書いたのか、あの場所で何を感じたのか。

 

 

わかっているのは「死ねばいい」と誰かに思われたということ

思われたのに生き延びているということ

 

しあわせだと思うたび

美しいと思うたび

愛しかった都市のすべてを

人のすべてを思い出し

すべて失った日に引きずり戻される

お前の住む世界はここではないと誰かの声がする

 

十年経ったけど

原爆を落とした人は私を見て

「やった!またひとり殺せた」

とちゃんと思うてくれとる?

 

原爆で死ぬというのは、事故で死ぬのとは違う。

被ばくしたその日から、どんどんと体が蝕まれていき、突然、死ぬのだ。

ボクの義理の祖父は13歳で被ばくした。

昨年亡くなるまで75年間。

88歳にもなると、被ばくが原因で亡くなったとは誰も言わないだろうけど

被ばくしたせいで、体中に癌ができた。

ボクが彼に出会ってからは20数年ほどだが、何度も手術を受けるのを見た。

被ばくしたせいで、染色体異常もあった。

原爆というのは長い時間をかけて体に苦しみを与えるもので

そして、記憶の中に思い出したくない、忘れてはいけない何かを植え付ける。

 

 

余談ですが、単行本サイズなので、最初は通勤途中で読むために借りました。

昨日、気になったので、少し読み進めたら、涙が止まらなくなりました。

今も泣きながら、ブログを書いています。

もしかすると、コロナも原爆に匹敵するレベルの人災かもしれませんね。

ボクはまだコロナで誰かを失っていないので、分からないけれど。

 


%d人のブロガーが「いいね」をつけました。